遺言と聞くと、結構みなさん、自分には関係ないと思う方が多いです。
良く、お客様との雑談の中でも、「遺言を作っておいた方がいいですよ」と提案しても、「そうだよねえ」で終わることが殆どです。
遺言を作っておいた方が良い方の代表例としては「お子さんがいない」「現在住んでいる家族とは別に血のつながった子供がいる」「家族の仲が良くない」「ある人にまとまった自分の財産を残したい」等です。
なぜ、遺言を作った方がいいかというと、遺言がないと相続の手続きに相続人全員が関わらないといけないからです。金融機関は預貯金の名義人が死亡したことが判明すると口座を凍結します。これを払戻すためには、遺言がない場合、相続人全員の署名と印鑑が!必要になります。
ここで仲がいい家族なら、すんなり署名を集めて払戻し手続きに移行することができますが、家族の仲が悪かったり、会ったこともない兄弟がいることが分かつたりすると、残された家族には大変負担がかかります。
例えば、Aさんには、妻Bと長男Cの外、婚外子のDさんがいるとしましょう。
遺言を残さずにA さんが無くなると、Aさんの財産を分配するのには、B、C、Dが話し合いをしなければならず、BCDの署名と印鑑が必要になります。Bさんが高齢でCさんがその手続きを一手にやろうと思っても、Dさんがゴネたら、Aさんの財産を手にすることができません。
また法務局や銀行への提出書類も、Aさんの出生から死亡までの戸籍謄本、BさんCさんDさんの戸籍謄本、BさんCさんDさんの印鑑証明書と、かなり集める書類が必要となります。
ここで遺言があれば、まず遺言の内容を優先して、財産を分配されるわけです。Aさんが「不動産はB、残りの財産はCに相続させる」という遺言を残すと、この内容で財産は分配されます。法務局には、遺言書、AさんBさんの戸籍謄本くらいの提出で済み、Dさんの署名と印鑑は必要ありません。預貯金についても、遺言書、AさんCさんの戸籍謄本、Cさんの印鑑証明書の提出くらいで、同じくDさんの署名と印鑑は必要ありません。
つまり、遺言書があれば、残された家族の相続手続きはぐっと楽になるわけです。
人間いつ死ぬかわかりません。
まず「家族が出来たとき」「まとまった財産を持ったとき」遺言書を作成しましょう。